今回は、無塗装で仕上げた木彫りの招き猫たちです。
ずっと無塗装の方がいい味出ているのではないかと思っていたのですが、今回の作品たちは本当に無塗装にしました。
無塗装の一番の特徴は「木の素朴な質感」です。オイルもワックスも塗料も何も塗っていない裸の木です。木によっては無塗装でも光沢が出る木もありますが、マットな質感に仕上がることがほとんどです。私は無塗装の素朴な木の質感がとても良いと感じています。無塗装が合うんじゃないかなって思っている木は無塗装のまま出品してみることにしました。もちろんオイル塗装などの塗装でいわゆる「濡れ色」になった木の色味の良さもあります。
無塗装の木にはデメリットもあります。何もコーティングしていないので、水や油を吸いやすく汚れが付きやすいです。汚れが浸み込んで取れないこともあります。そして木は湿気を吸ったり乾燥したりとやりたい放題なので、割れや反りが出やすいです。食器など手で触るカトラリー系の木の作品だと無塗装は難しいですが、置物として飾っておく分にはさほど影響は無いと判断しております。
今度時間がある時にでも、無塗装とオイル塗装の質感の違いなどもまとめてみたいと思います。
(いつも時間があると木彫りを優先してしまいますので、なんとか時間をひねり出すしかないですよね…)
まずはいつものように制作の様子を一部ご紹介します。
要はいつもの制作の様子が、すでに無塗装の木彫りなんですよね。
今回はタモの木を多く使っています。
タモの木は身の回りに良くあるとてもポピュラーな木です。広葉樹の木材の中では比較的安価なので家具などにも良く使われています。広葉樹なので堅いです。彫るのは大変ですが、落ち着いた色味と木らしい木目や質感が好きです。

↑これはタモの木です。最近ペルシャ猫っぽいモコモコした猫を彫ってみたいと思っているので、下書きもライオンのような感じになっています。(下書き通りには彫りませんけど…)

顔の毛並みもモコモコしているように見えるように、あまり顔を小さくしないようにしています。

ちょっと犬っぽい…
今回は無塗装にすると決めているので、目はいつものように本紫檀の木を埋め込んでいますが、鼻はウォルナットの木にしました。本紫檀の木は無塗装でも光沢がありますが、ウォルナットは無塗装だとマットな紫っぽい色味です。ちょっとした違いですが、目と鼻を別の木にすることで、目が際立つのではないかと思っています。

この無塗装のまま完成とします。ノミや彫刻刀の粗い彫り跡もそのまま残します。
次もタモの木です。

次はこんな感じで下書きです。一応2面だけ下書きしますが、作品のイメージとノミを入れる位置の参考にするだけで、いつも下書き通りには彫りません。彫っている途中でどんどん変わります。

やっぱり下書きとは違うネコさんが出てきました。

目の位置や大きさ等、もっと適当でもいいのかも…
もう一つタモの木の招き猫↓

このタモの木は少し色白です。
次のタモの木は結構黄色です。

もっとペルシャ猫っぽくしたいと、下書きで主張しています。

モコモコ感は下書きより出たかも。
こんな感じで、タモの木の招き猫4作品を無塗装で制作しました。

上の4作品は全てタモの木です。同じタモでも色味にこんなに違いがあります。木の部位や産地、木材の経年変化など様々な影響があると思います。
次はウォルナットの木。ウォルナットも好きで良く彫っています。

台と尻尾を別々で彫って接着する場合もあれば、このように台と尻尾をそのまま一つの木から彫り出すこともあります。最近は一つの木から彫り出すことが多いです。

ウォルナットは無塗装でもこの色です。最大の特徴をそのまま残してみます。もちろんウォルナットにも個体差があって紫がかった色や初めから赤茶色っぽい色など同じ木でも様々です。
ウォルナットの猫さんは目も鼻も本紫檀の木にしています。
最後はブラックチェリーの木です。

ブラックチェリー(チェリー)の木は色味の変化がとても早いです。彫ったばかりの色味はサーモンピンク。数日で色味が濃くなります。そして、オイル塗装するとたちまち飴色になります。チェリーは無塗装もオイル塗装もどっちもいい味出します。
今回の作品たちも出品しておりますので、よろしければ見てみてください。
それでは、また。