9月に入って北海道はやっと涼しくなりました。木彫りにも最適な時期なのですが、この時期から本業の仕事が忙しくなってきます(;一_一)
なかなか木彫りに時間を取れない中、最近は綺麗に仕上過ぎない方法で彫っています。
大きな彫り跡を残し、大胆に力強く彫っていきます。最低限のバランスのみ調整し、後は多少崩れても良しとします。
一見未完成にも見え、雑に彫っているようにも見えますが、木彫りの良さが出ている気がします。
昔、学生時代に熱心に油絵を書いていた時期があります。白とイエローオーカー(茶色)の2色だけを使い、軽く下書きをしていましたが、その未完成の下書きがなんだかとても好きで、そのまま仕上げずに完成としたことがありました。力まず軽く引いた線などがとてもいい雰囲気を出している時があって、木彫りにもそういうところがあるのかなと思います。
普段彫っているキノコよりは時間はかからないのですが、この彫り方は経験が必要かもしれません。どこで止めていいのか迷ってしまい難しいです。
という事で経験をたくさん積むために、最近は粗彫りのようなキノコをたくさん彫っています。
毎回ブログにアップするのは追い付かなく時間も無いので、木種ごとにまとめてその作成の様子をブログにします。
今回は山桜です。

昔作った山桜の家具の端材がありますので、あえて中途半端な端材を使います。

キノコの、笠と柄に2つにカットします。

まずは笠の裏を彫っていきます。
今回の作品は、「綺麗に仕上過ぎない」を念頭に置いていますので、あえて正確に彫りません。ズレても構わない姿勢で臨んでします。本気でやってもズレるんですけどね…(;一_一)

裏側の彫り方はこんな感じです。一応丸い下書きがありますが、合わせていません。

次は、ノコギリで大まかにカットしていきます。山桜はノコギリを入れるととてもいい桜の香りがします。桜餅が食べたくなります。

かなりズレていますが、このズレがいい味を出すと思っています。多分…

ノコヤスリで角をさらに取ります。このあたりも時間を掛けずに結構適当にやります。
ここから、彫りに入ります。


素早くザクザクとあまり考えずに、ある意味自由にノミで形を作っていきます。普段は整えるデコボコを我慢して整えません。



柄は彫りながらちょうどいい形を探っていきます。

足を付けます。足を付けると表情や動きが付くと考えています。
そして、ここで完成とします。

本来ならここから何度も修正を繰り返し、形を整えながら細かく彫っていくのですが、最初の彫りの勢いのようなものを消さずに残します。
しかも自立しません。何かに寄りかからないといけません。(この後、結局自立するように足の裏を彫りました)
左右と後ろ姿もどうぞ



彫り跡が大きく、力強い印象になっています。
続いて、もう一つ山桜いきます。

山桜の木は好きなので、いっぱい持っています。

このキノコは笠を少し横に大きくしてみます。(ここまでの途中経過は割愛します)

いつもよりちょっと大きいので持ちづらいです。大きさを変えただけでここまで持ちづらくそして、彫りづらいとは思いませんでした。これも経験です。


こんな感じで、笠も綺麗に丸く仕上げるのではなく、左右非対称で動きが出るようにしてみました。

柄は少し細長くしてみます。

キノコの笠と柄を合わせてみます。ここまで来ると何が良いのか悪いのか分かりません。子供の工作のようにも見えますが…子供の作った物の良さを知っているので良しとします。
ただ、少しだけ整えさせてもらいます。


これで、完成とします。柄の部分は整え過ぎてしまいました。もっと強く粗く彫りたかったです。
オイル塗っていきます。




こんな感じで、最近は未完成に近いような粗彫りでキノコを彫っています。
正直楽しいです。「綺麗に彫らなきゃっ」ていうプレッシャーがありません。作品にして販売するとなると変なプレッシャーがあるのですが、そもそももっと気楽に木と向き合うべきだと、木から教わっている気がします。
一応作品として出品する予定です。こういう強い彫り跡がお好きな方は手に取ってみてください。
すでにたくさん彫っていて、木の種類ごとにまた次回ご紹介します。